私は、株式会社ODR Room Networkという会社を経営しているわけですが、名称も、ODRという用語そのものも馴染みがないでしょう。そこでこのブログを使ってご説明しようと思います。当社は、一言でいうと、
「紛争」すなわち、「もめ事」の解決に技術、特にインターネットを活用して
 早く平和になりましょう、そのための技術やサービスを提供します」
という会社なわけです。

1.ODRの必要性

商売上の紛争は、例えば、遠隔地、国内でも国外でも起こりうるわけで、実際多くの紛争が
争われたり、争う準備が進んでいたりするわけですが、ここにはいつも距離の問題があります。「距離問題」というのは言い換えると、時間と移動の費用、さらには、移動に伴う事故やその間の機会損失などのリスクなどに置き換えられます。最近では、どこにいてもテロに巻き込まれたりする危険があるわけですが、さすがにテロは少ないとしても、飛行機の事故は昔から起こりうる訳で、紛争となれば企業の責任者、場合によっては、社長や会長自らが証言をしなければいけない可能性も高く、そうしたリスクも大きな問題と言えます。ここにオンライン技術を活用して、現地への移動は必要最低限にしてあげようというわけなんです。

2.イスラエルでの訴訟の実体験

もう一つは実体験からきています。
私は、イスラエルとのビジネスに10年以上関わっており、今ご紹介している製品の一つも同国製の開発なのですが、後半の5年くらいは紛争のまっただ中にいました。つまり、相手企業との仲裁に証人として関わっていたのですが、契約条項で係争地は相手国になっていたために、証人喚問があると現地で飛んでいくのです。ご存知のように同国は、紛争のまっただ中。一方、日本人は且つて過激派がテロ(日本赤軍 テルアビブ空港自動小銃乱射事件 1972年)をおこなったせいもあって、いつも厳しいセキュリティにさらされます。

日常でも、一時はラビン首相が暗殺された付近にアパートを借りていたりもしましたが、隣には軍人が住んでいて、いつもマシンガンを下げて出勤していきます。その人に毎朝「シャローム」なんて挨拶をしていたのですが、これは町中でも一緒で、レストランの入り口にはチンピラ風の男がいてこれがガードマンで、必ず銃を持っている。さらに、レストランで食事していると、昼休み中の軍人カップルが自動小銃を下げて入店してきて、クロークに銃を預けて、テーブルで「I love you」なんてしているような場所です。

一方、町中で馴染みのレストランにいったらやけに空いている。どうしてかとあとで弁護士に聞いてみると、「Oh! おまえあそこにいったのか?昨日爆発があったからみんな近寄らないんだよ」なんてこともありました。さらに弁護士が、「お前は重要証人だから、暗殺される可能性がある。外出するな」と脅かされ、2週間ホテルから出なかったこともありました。生命保険は、会社が払ってくれましたが、戦争特約で家族は最初は泣いていましたよ。

3.国際訴訟はODRだ!

仲裁は、その手順を当事者が決められますから、そのような事情を鑑みて例えばTV会議を駆使すればずいぶんと危険も減ったし、時間も節約できたのではないかと考えました。前職で、仲裁のTV会議実験にも関わり十分使用に耐えうることもわかりましたので、紛争解決全体に提供していこうとこのビジネスを始めたのです。

4.ビジネスはそもそもDRの固まり

 とはいえ、紛争はそんなにいつも起こるわけではありません。また起こらなければそれにこしたことはありません。
 さてみなさん、ビジネスはそもそも紛争を抱えていると思いませんか?
つまり、商売は安くいいものを買いたい人と、できれば高く売って利益を出したいという相反する利害の取引ですよね。紛争を抱えているというのはそういう意味です。

私は、テクノロジをここにも活かせると考えています。
つまり、取引を開始する前に条件交渉があり、契約書がかわされ、取引が始まれば、維持し調整するための書類が飛び交い、会議が行われます。運悪く紛争が起これば、前に述べた通りですが、紛争もできれば丸く納めて、またビジネスを継続していきたいと考えていますよね。この一連の過程も、同じく時間距離、リスクを抱えていますから、ここでもODRが役に立つと考えています。

まだまだ、ODRと叫んでも「ハァ?」という顔をされることが多い今年は、啓蒙の年。まずは、カナダで開催されるODR Forumに行ってきます。

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5.リアルタイムコミュニケーションスペース
6.日本のADR/有識者検討会
7.ネットいじめなどもODRに関わりそう
8.今年は啓蒙 カナダのODRフォーラム