玉置浩二の唄う「田園」は、初めてイスラエルに行った年に放映されたドラマ「コーチ※」の主題曲だった。義姉にダビングを頼まれたベスト盤に入っていてiMACにダビング。最近のヘビーローテーションである。(ちなみにiTunesにはなかった。)
イスラエルのベングリオン空港に降り立ち、テルアビブに向かうタクシーの窓から見えたのは一面のオレンジ畑だった(田園ではないが)。戦争の跡や荒涼とした砂漠をイメージしていた自分としては驚きと違和感で眺めていた。なぜかアタマの中には始まったばかりのこのドラマのこの曲が浮かんできた。

ドラマは、千葉の田舎町の缶詰工場を舞台にした人間模様。番組中の商品サバカレー缶は商品化されたり。Youtubeで見ると玉置の演奏スタイルがいい。生ギター(これもアコギと最近はいうのかな)と左右にベースとパーカッションでフォークの基本形のいい形。バンドの一体感がある。これは聴き手も一体感を享受できる最高の形だと思うのだ。以前、中野サンプラザにケニーロギンスがソロで来たとき、ステージの一番前に直に座って生ギターで演奏したのも同じ理由でよかったなぁ。
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演奏スタイルも然る事ながら、歌詞がいい。
♪石コロけとばし 夕陽に泣いた僕
 夜空見上げて 星に祈ってた君
 アブラにまみれて 黙り込んだあいつ
 仕事ほっぽらかして ほおづえつくあの娘♪

僕と君とあいつとあの娘。4人の絵が浮かぶ。記憶はロールバックする。自分と、つきあっていた彼女と、車好きだった親友と、イラストレータだったその彼女。ユーミンの歌にもあるグループみたいに。車一台に乗って夜通し走って遊びにいく。フェリーに乗って甲板で埠頭をわたる風をハモった。結局4人は別れてしまったけれど、今でもあのときの楽しさや悩みは別格だったと思っている。

♪生きていくんだ それでいいんだ
 ビルに飲み込まれ 街にはじかれて
 それでも その手を 離さないで
 僕がいるんだ みんないるんだ
 愛はここにある 君はどこへもいけない♪

都会で仕事をしている。雇われる立場であろうと、経営者であろうと、葛藤の中にあり、行き詰まり、壁にぶちあたり、自己嫌悪し、裏切られたり、失敗する。ふと田園が恋しくなり、旅にでも逃げ出したくなる。そして逃げ出せないこともわかっている。追い込まれて一人になってしまうことはある。それでも、助け舟はある。あるはずだ。まだ相談していない誰かにいってみればいい。答えはいつでも自分にある。答えを出すのが怖いだけだ。でも、誰かがいてくれると思えば、どんな選択も最良の選択であろう。



※ちなみに、出演者もすごかった。
浅野温子、玉置浩二、鈴木杏樹、西村雅彦、石田純一、村田雄浩、井ノ原快彦(V6)、細川茂樹、高島礼子。好きな俳優、女優ばかりだったわ。